アンカリングは評価する際の基準点が感情的な影響によって作り上げられる事で、合理的な判断結果と異なることです。
感情的な経験が強いほど強力な基準ができ、その基準を繰り返し用いる事で、さらに基準は強くなります。
感情的な基準は人によって異なります。
これは、人によって重要視する点が異なり、重要な特徴は印象に残りやすいためです。
同じものをみても、個人の感想が異なるのはこの影響です。
特に初めての経験は印象が強く残ります。
これは初頭効果によるもので、試行回数が少ない段階では感情の振れ幅が大きくなりがちです。
商品の価格をはじめ、人の印象など、感情が絡む場面で多く起こる現象です。
具体例
自動販売機で130円のジュースを見た後(基準点)にコンビニで100円のジュースを見ると安いと感じます。
しかし、スーパーで70円のジュースを見た後(基準点)、コンビニで100円のジュースを見ると高いと感じます。
これはどこで最初に目にしたか(基準点を決めたか)の違いです。
この例で100円は平均値であるため、高くも安くもありません。
そして、スーパーでジュースを目にする頻度が多い人は100円のジュースを高く思う傾向が強くなります。
反対に自動販売機でジュースを目にする頻度が多い人は100円のジュースを安く思う傾向が強いです。
このように目にする機会が多い環境に合わせた印象が強く残ります。
アンカリング効果は様々なシーンで活用されています。
スーパーなどで商品を販売する際に販売数量を制限すると、その数量に近い個数買う傾向があります。
具体的には限定1個と書かれている場合、購入しなくてよくても購入しやすい傾向があります。
アンカリングへの対処方法
アンカリングを完全にゼロにするのは難しいです。
これは論理的に証明されていないものは、答えが無いためです。
しかし、軽減する事はできます。
アンカリング効果は最初に得る情報が強く印象に残るため、その後の意志決定に影響します。
これは判断材料が少ない状態では最初の情報が重要視されるためです。
そのため、情報を多く入手する事で判断材料を増やし、基準をより広い視野から探す事ができます。
現在はインターネットの復旧によって情報を多く入手する事ができますが、どの情報をどの程度重要視するかは個人差が大きいのが現状です。
そのため、情報を多く集める事で、論理的な選択に近づける事ができても、完全にアンカリングから抜け出すことは難しいです。
そのため、最終的には経験などの個人の相場観で判断を行う事が多いです。
特にものが量産的でなくなるほど判断する難易度があがるため、人を判断するのはとても難しいです。
人を判断する時も情報を多く集める必要があるため、コミュニケーションを多く取ることがカギになります。